中世キリスト教の暗黒時代!王権以上にキリスト教が世俗の権力を握り、教皇が王を破門にする時代。(例を挙げれば「カノッサの屈辱」。)
そんな時代を描いたウンベルト・エーゴの原作『薔薇の名前」を映画化した傑作です。 ヨーロッパに異端審問の嵐が吹き荒れていた14世紀初頭、北イタリアのベネディクト派修道院。八角形の奇妙な塔をもつこの修道院にひとりの放浪の修道士、バスカヴィルのウィリアム(ショーン・コネリー)と見習い修道士メルクのアドソ(クリスチャン・スレーター)がやってくる。 ところが、彼らの周りで奇怪な殺人事件がおこる。図書館で挿絵師として働く若い修道士、ギリシャ語の翻訳を仕事とする修道士が相次いで殺されたのである。 明晰な頭脳をもつウィリアムは、事件の究明に乗り出し、ついに、図書館に隠された、修道院の秘密=カトリック世界の秘密につきあたる……。 当時の教会では、聖書をはじめ各種の書籍を蔵書し、まだ印刷術が発明されていなかったので腕のいい写字生を何人も抱え、地域における学問(最先端知識)の中心地であったわけで、その教会の図書館の写字生が次々と殺されていく。亡くなった者は皆、指先・舌を黒くさせて・・・。 秘密は塔の中の禁書とされた本と狙いを付けたウィリアムとアドソが再び塔の中に入り、閉ざされた扉を開けることに成功、ついに、殺人事件の首謀者を見破ったのだった。 長老ホルヘを演じるシャリアピンはかの有名な歌手のシャリアピンの息子。父親の遺産を受け継ぎ大層な財産家であった。役らしい役を遣る俳優では無かったと言われているが、この映画での存在感は素晴らしい! 全編 ダークな中世の雰囲気とか恐怖や不気味さ、そして残酷さなどを感じずにはいられません。出てくる役者が其々独特な風貌で、それが余計何とも言えない怖さを感じさせてくれます。 当時の修道院の生活や礼拝の様子や、修道院が最大の知識の宝庫だったことが、丁寧に描かれていてよく分かります。この映画は実に旨く出来ていると思うと共に、何回も見てしまいたくなる不気味さもあります。 監督ジャン・ジャック・アノーによると、主役のショーン・コネリーには反対が多かったようである。だがこの映画で007のコネリーから脱却し見事な役者として再出発したわけで、このあと『レッドオクトーバーを追え』などに続いていく。彼にとっても、この映画が1つのエポックメーキング的なものであった。機会があったら是非御覧頂きたい印象深い映画です。 最近、ショーン・コネリーは俳優業を引退してしまい、誠に残念至極!!!
by ester-park
| 2008-06-06 03:12
| 懐かしい映画いろいろ
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